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ホテル・ヴィラ 旅籠ヴィソン

インクルーシブ/デフスペースデザイン
【聴覚障害の当事者と考える】ワークショップレポート

カテゴリ: お知らせ

ホテルヴィソンでは、7月18日に株式会社電通、株式会社電通総研と聴覚障害学生・視覚障害学生が学ぶ筑波技術大学の学生と協力し、とらわれている価値観を再認識し、新たな発想・視点へつなげることを目的にワークショップを行いました。

本ワークショップは、2024年12月11日に発表された「筑波技術大学と国内電通グループ3社によるインクルーシブデザイン共同プロジェクト」(※)の一環として実施したものです。
※参考: https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/1211-010819.html

聴覚障害の当事者である学生と共に多様性・特性やインクルーシブデザイン・デフスペースデザインについて学び、火災発生時において聴覚障害者との避難を想定した非常時ロールプレイを行いました。

 

<実施概要>

実施日:2025年7月18日(金)

開催時間:9:45~15:30

場所:kiond・ホテルヴィソン/旅籠ヴィソン(非常時ロールプレイ)

 

<プログラム内容>

・Stage-0  イントロダクション
・Stage-1  聴覚障害のある人への理解
・Stage-2  デフスペースデザインを探してみよう@kiond
・Stage-3.1  非常時ロールプレイ@ホテルヴィソン/旅籠ヴィソン
・Stage-3.2  共有と発表

 

<ワークショップの目的・ゴール>

・とらわれている価値観、先入観を認識し、新たな発想・視点への転換点とする

・当事者とのギャップを発見し、企業にとっての合理的な価値創出の起点を見出す


 

Stage-1  聴覚障害のある人への理解

・聴覚障害の多様性、特性について
・コミュニケーション支援の実態紹介
・ペアワークによるコミュニケーション手法の探索

聴覚障害の中でも聞こえにくさの程度に違いがあったり、当事者にしか分からない特性をレクチャーいただきました。

ペアワークを通じて手話や筆談、音声認識アプリなど共通言語を持たない相手との最善のコミュニケーション方法を探っていきました。

 

Stage-2 デフスペースデザインを探してみよう@kiond

・デフスペースデザインとは
・kiondにどんなデフスペースデザインがあるかさがしてみよう
・みつけたデフスペースデザインを共有してみよう

「デフスペースデザイン」とは聴覚よりも視覚や振動で情報を得ている聴覚障害者及びろう者が快適に過ごせる建築デザインのことです。

例えば、壁に丸みをつけて透明にすることでお互いが見え、出会い頭で衝突しない工夫がされていたりします。

・子ども用トイレは扉が低く設計されているため、声だけで会話が難しい人でもコミュニケーションがとりやすくなっている

・受付のカウンターが低いので会計時に筆談が行いやすい

・木は振動が伝わりやすいので人が来ることが分かりやすい

・自動ドアなので手話を止めずに入退店できる

等の気づきが共有されました。

 

Stage-3.1  非常時ロールプレイ@ホテルヴィソン/旅籠ヴィソン

・ホテルヴィソン/旅籠ヴィソンの客室で非常時と同様のシチュエーションを実演
・客室→避難場所へ正しく移動できるか

非常時の実際のスタッフによる案内を体験し、ノックの音やスタッフの避難誘導が聞こえない場合はどうする?などの問題に直面しました。

 

Stage-3.2 共有と発表

・ペアごとに発見した課題を書き出そう
・グループ内で確認
・解決に向けたアイディアの書き出し
・グループ内でアイディアの確認質問
・全体総括

非常時ロールプレイでの課題と、解決のためのアイディアは以下のようなものが出ました。

【課題】
・部屋では補聴器を外すので声やドアノックは伝わりづらく、何が起きているか分からなくなってしまう
・夜寝ている時だと気づかない
・ホテルの外に出てからの避難先が分からない

【解決策】
・ホテルスタッフは「火事」「地震」等の非常時を伝える最低限の手話を覚えて案内できるようにする
・非常時にバイブレーションする端末や客室のテレビに状況を表示できたら良いのでは
・聴覚障害者のための避難マップを用意する
・音以外に振動や光、におい(ワサビのにおいなど)で非常事態を伝える火災報知器の導入
・ホテルフロント、VISON内の店舗すべてに筆談ボードを導入したい

 

全体総括として、筑波技術大学さまより当事者とのコミュニケーションの難しさを乗り越えて、新たな気づきと発見を見つけ社会実装することに、企業価値が生まれる点が紹介されました。

 

参加したスタッフによるコメント

・今回のワークショップを通じて我々運営側はお客様の置かれた様々な環境(肢体不自由、聴覚障害、視覚障害など)に対し、配慮がまだまだ足りていなかったと感じた。設置のユニバーサルルーム、館内動線も車いす利用者を中心に配慮するだけに留まり、様々な特徴を持つ聴覚障害者及びろう者の細かいストレスを避難訓練やデフスペースなどで多く発見することができた。「お客様に寄り添った」サービスとは「お客様のストレスや利便性」を追求したものと、あらためて認識した。

・私共が日頃実施している避難訓練は、健常者を対象にしたものであった。それゆえに、ハンディーキャップのある皆様と、特にハード面の課題・ソフト面の課題が多く発見できた点はサービス提供者、ひいては根底にある「お客様の安全・安心」を提供する事業者としては改めて考え直す重要なワークショップであったと考える。今回のワークショップは各部の管理者×学生との取り組みであったが、それを全部署・全レイヤーのスタッフへ向け共有し、個人が自分事として捉え、ホテルとしての解決策となる「スタンダード」を築き上げていくことが何より肝要であり、そのきっかけとなった協議となった。

 

今後の展望

本ワークショップの実施結果をふまえ、当事者との視点のギャップを埋めることを重要課題としてとらわれている価値観、先入観を認識し、新たな発想・視点への転換点とする。